電子ブレーカーが節電器と勘違いされた時代

10年前、電子ブレーカーは節電器と勘違いされていた。

電子ブレーカーは、電圧を絞ったり電気系統の制御を行なう製品ではありません。

正しい認識は、省エネ商品というより、省コスト商品という位置づけになります。

今となっては「電子ブレーカーは省コスト」という認知が広がっていますが、当時は節電器と誤った認識をされることが多くありました。

電子ブレーカーの案内が活性化する前は、市場では節電器の案内が盛んな状況にありました。

今となっては、私自身も知識が追い付いてきているので、この節電器という製品がグレーな部類に入る製品であることを理解していますが、当初は恥ずかしながら節電器の意味を理解していませんでした。

※仕組みとしては、変圧器を用いて電圧を下げるといった内容です。電圧調整を行なうわけですから、理論上は下がりますが、全く下がらない事例も多く、評判の悪い製品でした。

実にアナログ的手法ですが、10年前は、電子ブレーカーを販売するために、飛び込み営業を行なっていました。電子ブレーカーの知名度が低いため、電子ブレーカーは、実際にお客様と対面した上で製品概要をお伝えしないとお客様も理解に苦しむ製品であったからです。

町工場の社長を怒らせた節電器の存在

私もまだ若かったので、明るく元気よくをモットーに「電子ブレーカーを使えば、基本料金を下げることが出来るかも知れませんよ！」と経営者の方にお伝えするのですが「電気料金が下がる」というキーワードを出すと、怒り狂うお客様がしばしば・・・。

「また、きやがったな詐欺会社め！！！」

などと、悲しいことに追い返されることも多かったのです。

電子ブレーカーの説明どころか、いきなり叱られるわけですから苦労した思い出があります。

電子ブレーカーの販売対象は、町工場も含まれていましたから職人系で親方気質の経営者も多く、とても迫力がある方ばかりでそれはもう怖かったのを憶えています。

そんな中、節電器の存在を知る機会に恵まれました。

「電気代が安くなるっていうから、入れちゃったんだけど効果がないんだよ」と、頭を抱える社長様に節電器の用途や経緯を教えてもらいました。

この時に始めて節電器の存在を理解し、節電効果が不透明な製品であることを知りました。

また、このような機器の導入をしてしまった社長様達にとっては、同じような話を持ちかける会社が現れたら、お怒りになる気持ちを察することも出来るようになりました。

電気料金削減に対して需要があることを確信した瞬間

しかし、多くの企業様が、この得体の知れない節電器と呼ばれる製品を導入していました。

このような製品を導入してしまった社長様方には恐縮な気持ちでいっぱいですが、この節電器と呼ばれる製品が普及した背景の「電気代を下げたい」という市場ニーズを肌で感じ取りました。

中小企業の経営者様達には「電気代を下げたい」という需要があることを実感し、電子ブレーカーの可能性を感じ取った瞬間でもありました。

私の同僚達は、節電器を設置している事業所への訪問は、とにかく怒られることが多かったので避けていましたが、あえて私は節電器を導入している会社への訪問を繰り返しました。

「社長様にとって節電器は良い商品ではなかったかも知れません。しかし、電子ブレーカーは、必ず基本料金を落とせる製品だから損失を取り戻せます。効果を確認して頂いてから買い取っていただいてもかまいません。試しに電子ブレーカーを使ってみてください。」

と、お願いをすると「本当に効果が出るものだったら、導入しても良いんだよ。1度失敗してるから信用しにくい面もあるんだ。でも、電気料金が下がることを確認してからでもいいなら、使ってみるよ。」

とおっしゃって頂けるようになり、とても嬉しかったのを憶えています。

しかし、電力会社が節電器の設置を理由に契約変更を「不可」と判断することもあり、苦い思い出も味わいました。（節電器を撤去する事で無事に検査は通りました）

電力会社の検査時に「これでは、申請が通りません」と言われたときは、内心「あれだけ社長に大口叩いたのにシャレにならない…」と血の気が引いたのを憶えています。

電子ブレーカーの販売当初はさまざまな問題が発生しましたが、あれからもう１０年経過しています。

当時の社長様方が、電子ブレーカーを導入したことによって節電器の購入代金を取り戻せているとことを考えると、電子ブレーカーの営業マンとして、節電器を購入してしまった社長様方との出会いの数々を懐かしい思い出といっても罰は当たらないと思います。