私は、電子ブレーカーのメーカーに6年間勤めておりました。製品知識や業界事情は熟知しています。電子ブレーカーのメーカー選びのポイントをお教えします。
 

• 純生産とOEMを見極めること
• メーカーの評判をネットで調べること

まず、電子ブレーカーの業界には、複数のメーカーが存在していますが、電子ブレーカーは、ＪＩＳ工業規格に基づいて製造されるため、商品の品質に差は生じますが、機能に差が生じることはありません。

しかし、安易にメーカー選定をすることはお勧めしません。何故ならば、電子ブレーカーは、長期間の使用を前提に導入するわけですから、メーカー側のフォロー体制も問われてきます。

極論を言ってしまえば、お客様側のリスクとして、販売店が潰れても影響はありません。
しかし、仮に電子ブレーカーのメーカーが倒産した場合のリスクはどうでしょうか。そうなった場合、メーカーから部品の供給をうけることは出来ません。
このような事態も想定が出来るため、電子ブレーカーのメーカーを選定する上では、メーカーの選定が重要項目となります。

例えば、電子ブレーカーのCPUが破損した場合、破損した部品の供給を行なえるのはメーカーに限られます。販売店は窓口という位置づけであり、一次対応を行うことが可能かも知れませんが、「モノ」が存在しないわけですから、部品そのものを提供することは出来ません。
当たり前のことですが、電子ブレーカーのメーカーが自前の工場を持っていない限り、部品の製造はおろか、部品の提供を行なうことは物理的に不可能です。

電子ブレーカーのメーカーという立ち位置にいる会社であっても、実際は、他メーカーのＯＥＭ製品を使用しているだけであったり、海外へ部品・組み立てを外注しているだけのメーカーもいます。中には、メーカーのシールを自社名に差し替えて自社製品と主張する会社も存在します。純粋に自社で製造ラインを確保しているメーカーは一握りです。

電子ブレーカーは業界規模も狭く、まだまだ認知度も低い業界である以上、成熟した業界ではありません。そのため不完全な販売店やメーカー（OEM取扱い）の誤った情報により、お客様側のリスクを説明する人材が少ないのが現状です。

一般的な電子ブレーカー販売店は、電子ブレーカーを売りたいがために、仕入れ価格の安い電子ブレーカーのメーカーを選抜しています。外注製造のメーカーは、原価率を優先して部品や組み立てを海外に外注しているわけですから、自社製造のメーカーに比べると、品質的に劣ることや、単品部品を即時提供する力があるのかと疑問に思います。

平成25年に電子ブレーカーのメーカー「株式会社イー・エム・シー」が倒産しました。こちらの会社は電子ブレーカーの低価格販売に走り、業界初の取り組みとなる電子ブレーカーの本体価格を10万円程度で公表し話題になった会社です。解析費用や工事費を含むと他社と変わらない値段になるという仕組みでしたが…。業界で話題を浚った後、間もなく倒産してしまいました。業績が悪化して起死回生の安売りに走ったのか、理由はわかりません。

倒産メーカーの電子ブレーカーを導入しているお客様はどうすればよいのでしょうか？販売店が責任を追えるのでしょうか？故障や不具合が発生した際は、新しく電子ブレーカーを購入することしか対処のとりようがありません。

このような事例もあるわけですから、電子ブレーカーのメーカー選びが重要となります。

当社は、販売に責任を負う立場もありますので、お客様以上に電子ブレーカーのメーカーの選定を慎重に行っています。

電子ブレーカーの自社製造を行なうメーカーのみ、万が一の故障時、部品供給のアフターフォローに対応可能です。

また、上記で述べたように、成熟した市場ではないため、電子ブレーカーのメーカー倒産リスクも大いに考えられます。主要事業が安定しているメーカー、メーカーの評判について情報収集を行なった上で、メーカーを選択することがベストだと考えます。